森下京　Miyako　Morishita

森下京の作品の原点には、幼い頃に描いた「ドット」がある。

森下はドットを「人」として捉え、その集合を「社会」や「関係」として描く。

重なり合うドットは花や星、ハートといった象徴的なかたちへと変化し、

怒りや優しさ、希望といった感情の軌跡を内包してゆく。

その造形は秩序と衝動、倫理と本能のあいだを行き来しながら、

人間の複雑な心の層を可視化している。

素材に用いるのは、肌のような質感をもつ薄い雁皮紙。

そこに直接描き、水に浮かべ版に乗せ水を切り、さらに描画をし、顔料などを散らし、プレス機で圧をかけうつし取るという独自のスタイルだ。

紙の上で響き合う色と形は、重なり合う感情を包み込みながら、 新しい息吹とぬくもりを、静かに世界へ広げていく。

1984 静岡県生まれ

2007 名古屋芸術大学美術学部絵画科洋画コース版画選択コース卒業

2009 同大学大学院美術研究科修士課程修